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燃料内の汚染物質の経路

燃料の移送に伴う汚染のリスク

どのような業種でも、 ダウンタイム は 大きな 時間のロスとなります。 あらゆる方法を駆使して想定外のダウンタイムを最小限に抑えたいと考えているでしょう。その方法の1つは想定外の場所でトラブル発生箇所を探すことです。

たとえばディーゼル供給が挙げられます。

どのディーゼル燃料も、汚染されるリスクにさらされています。 「非常にクリーン」(顕微鏡レベルでクリーンであることを意味)ではないディーゼルは、高価な高圧コモンレール(HPCR)エンジンの故障原因となることがあります。 最新の低排出ディーゼルエンジンで使用されているHPCR燃料システムは、効率性が非常に高いものの、インジェクターの許容差が小さいため、古いモデルのエンジンに比べて不調の影響を受けやすくなっています。 HPCRエンジンが普及する前は、「透明で明るいこと」が燃料の清浄度の基準となっており、 文字どおり、燃料を目視点検することで、エンジンにとって安全な燃料かどうかを判断していました。

現在のシステムは、肉眼では確認できない汚染物質による損傷をはるかに受けやすくなっています。 肉眼で確認できるのは、40ミクロン以上のサイズの粒子にすぎません。 また、わずか2ミクロンのサイズの粒子がHPCRインジェクターに損傷を与えることができてしまうのです。 これは細菌のサイズです。 汚れといった燃料品質の問題は通常、燃費の低下、ディーゼル粒子フィルター(DPF)の再生率の上昇、エンジンのフューエルフィルターの早期の目詰まり、馬力の低下とDPFの故障、そして最終的には燃料システムの故障といった形で現れます。

オフロード業界においては通常、エンジンや燃料インジェクターの故障は最悪の事態です。 エンジンの交換や修理は、機器関連の問題の中でも最もコストがかかるものですが、 採鉱業界では運搬トラックまたはローダーが数日間使えなければ、回収不能なコスト発生にもつながります。 数時間の生産停止であっても、何度も繰り返せばそれだけコストはかさみます。

問題箇所を把握する
製油所から最終目的地、現地のバルク貯槽タンク、そして最終的にお客様の貯蔵タンクへと移動する際に、最新エンジンにとっては致命的となる汚染物質がディーゼルに入り込んでいます。

ここで浮かんでくる疑問は、より高度な技術を備えた最新のエンジン用に、どうすればディーゼルを「クリーン」に保てるか、ということです。 簡単に言えば、その答えは「フィルトレーション」です。 ただ、この答えをきちんと理解するには、製油所から車両のタンクまで、燃料がたどる経路において、汚染される可能性があるすべての場所を把握しておく必要があります。 問題箇所を把握することで、燃料補給が安全にできるようになります。

「ほとんどのHPCRエンジンの許容差は2ミクロン未満であるため、細菌なみに小さなごみの粒子は、へこみを発生させ、最終的にはインジェクターに損失を与えることがあります」と、ドナルドソンのグローバルセールスマネージャーであるPaul Klickは述べています。 「人はくしゃみや接触で細菌をうつす可能性があることを考えれば、汚れた環境で燃料を移送するだけでも、ディーゼル供給にあらゆる種類のトラブルが発生し得ることは想像に難くありません」

燃料は最終的な形態となって、トラック、鉄道、船、配管で製油所から運ばれます。 ほとんどの場合、この段階では燃料の移送が発生するため、輸送サイクルの各箇所で汚染のリスクがあります。 ディーゼル燃料の取り扱いと管理のために定められた基準がありますが、1950年代に導入されたものであり、現在のHPCRエンジンの技術要件をカバーできるものではありません。

次に、燃料がバルクターミナルに到着すると、移送されます。

このポイントが、ごみ、水、化学物質が燃料供給ラインに侵入するもう1つのタイミングです。 バルク貯槽タンクについては少し後で説明しますが、この時点では移送が汚染源の1つにすぎないことを覚えておいてください。

ディーゼルはバルクターミナルからトラックでエンドユーザーのサイトに輸送され、そこで現場のタンクに移されます。 こちらでは、「出る」と「入る」という移送が1回ずつ発生します。 これで汚れが侵入するチャンスがさらに2回増えます。 現場の「最終的な」保管場所で、燃料はより小型のデイタンクまたは移動式給油トラックに移し替えられるか、機器に直接供給されます。 このタイミングで汚染のリスクが最も高くなります。

移動するたびに、燃料は汚染するリスクにさらされます。

「現地の販売業者には、順守すべき現地の連邦清浄度基準があり、ほとんどの業者がそれを守っています」と、Klickは言います。 「問題は業界の規制基準が、エンジンの要件に追いついていないことです。 燃料取り扱い業者は今までと同じような方法でデューデリジェンスを行っていますが、最新のエンジンで使用するにはどれも燃料の清浄度が低すぎます」

バルクでの問題

ここまでは、移送中に汚染物質が入り込む可能性についてのみ説明してきましたが、 同じようにまたはそれ以上に問題を含んでいるのは、最終的な燃料タンクそのものです。 バルク燃料タンクは汚染の多発地帯です。  粉塵は排気口から侵入します。 燃料をポンプで貯蔵タンクに出し入れするたびに、底に溜まっている堆積物やその他の汚れかき回してしまっていることがあり、 そうした汚れなどが機器に直接侵入してしまいます。

また、水分はディーゼルの最大の敵です。 貯蔵タンクに水が入ると、タンク内部に錆が発生することがあります。  十分な 量の水分が溜まると、細菌が燃料を餌にして増殖し始めます。 さらに、水によってバイオディーゼルが不安定になり、グリセリンの副産物ができて、バルクおよびオンボードフィルトレーションを詰まらせることがあります。 ディーゼル中の遊離水は、インジェクターのシーリング面の腐食、エッチング、チャネリングを引き起こし、さらにはインジェクターの先端を吹き飛ばすこともあります。

フィルトレーションで解決

「絶対に確実なものはありませんが、効果的なフィルトレーションはエンジンの保護に大いに役立ちます」とKlickは言います。 「最新の高度なフィルトレーションメディアは、現在の業界標準を超えたレベルでエンジンを保護するよう設計されています。 もちろん高効率のオンボードフィルトレーションをおすすめしますが、持っているすべての外部タンクで適切なフィルトレーションを行うことも忘れてはなりません」

適切なフィルトレーションとして、インレットフィルトレーション、タンクの通気システムでのブリーザーフィルトレーションなどが挙げられます。また、すべての供給用ポンプには、優れた粒子フィルターと吸水機能を備えつける必要があります。

燃料が機器に入る前に汚れ、水、その他の汚染物質を除去することで、コストのかかる想定外のダウンタイムをなくし、稼働させ続けることができ、多くの成果を上げられます。

オンボードであれオフボードであれ、すべてのディーゼルフィルターが同じように作られているわけではないことを知ってしておく必要があります。 文字どおり大きな石のみ除去できるものもあれば、最新のHPCRエンジンに害を及ぼす可能性のあるすべての汚染物質を99.9%以上除去できるものもあります。 結論としては、 エンジンが求める推奨レベルまで、ディーゼルを洗浄できるフィルターを使用することが重要です。

「お客様の多くは、過酷な環境で機器を稼働させています」とKlickは言います。 「機器を動かし続けるためにできる最善のことは、燃料をできる限りクリーンにしておくことです」

Pit & Quarryの2019年5月号に掲載

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