歴史的に見ても、厳格化する排ガス規制を先行して導入してきたのは、欧米と日本ですが、 他の多くの国と地域でも同様の規制が導入されており、OEMはより多くの機器モデルに排出ガス低減技術を搭載しなければならない状況となっています。
これまでの排出量削減の変化と同様に、今後の技術もこのような規制強化の影響を受けることになります。 傾向としては、粒子状物質の排出を低く抑えつつ、窒素酸化物(NOx)をさらに削減するという方向です。 ドナルドソンでは、これらの規制を満たす、あるいは超える技術を提供しています。さらに、二酸化炭素(CO2)の排出量削減にも力を入れ始めています。
ドナルドソンの統合排ガス規制技術があれば、エンジン効率を向上させながら排出ガスを削減することができます。 排出量削減の厳しい要件に応えるため、ドナルドソンはOEMに対して、NOx、CO2、粒子状物質の排出を効果的に削減するさまざまな統合された後処理排ガス規制技術を提供しています。
欧州や北米では規制がますます厳しくなり、NOxの排出量をさらに削減する方向に向かっています。 オフロード用途のNOxの閾値は、Tier 4 Final(米国)およびStage V(欧州)の基準と比較して、さらに一桁削減される予定です。 これらの低NOx要件を達成するためには、いくつかの技術(以下に挙げるものを含む)を後処理システムに組み込む必要があります。
密結合とデュアルAdBlue®/DEF(ディーゼル排気液)注入
選択式触媒還元(SCR)システムが正常に機能するためには、熱が必要です。 エンジンに近接して設置された追加の(密結合)システムを組み込むことで、始動時および全体的なNOxの削減要件に対応することができます。 密結合とデュアル注入方式(AdBlue/DEF添加)を導入したドナルドソンの排ガス規制システム設計は、技術要件、そしてSCRが正常に機能する上で欠かせない熱に対応するために採用されたものです。
熱管理
今日の後処理システムは、適切な温度条件で動作することで、大幅な排出量の削減を達成することはできますが、 今後の排ガス規制では、この温度範囲外の領域に焦点が当たることが予想されます。 そのため、特にコールドスタート時において、後処理システムを急速に加熱することが重要となりますが、 すべてのコンポーネントの熱慣性を最小化すること、そして、熱損失を最小限に抑えるために適切に断熱された排気システムを備えることで実現できます。 さらに、この熱をシステム内にとどめ、外部環境の人や物質(オペレーター、技術者、環境ごみなど)に触れないようにすることが大切です。 OEMがこれらの課題に対応できるよう、ドナルドソンでは幅広い熱管理技術をご用意しています。
排気流の追加加熱
また、排気を追加加熱することで、始動時のNOxの削減基準を達成することができます。 ドナルドソンでは、後処理システムにヒーターを組み込んだ製品を数十年にわたって販売しています。
NOxを削減するだけでなく、優れた設計の後処理システムによってエンジンの効率を高め、燃料の消費量とCO2の発生量を削減することができます。 また、密結合と熱管理によって、最も燃費の良い状態でエンジンを稼働させることができます。
熱管理の改善により、後処理システムの加熱に必要なエンジンエネルギーの量を削減し、その未使用エネルギーを機器の作業に転用することで、より高い効率を実現することができるのです。 背圧を最小化することで、エンジンの高効率運転を可能にし、CO2の排出量を最小限に抑えることができます。 さらに、優れた設計手法とシステムの統合により、後処理システムのサイズと重量を削減することで、燃料消費量の削減とCO2排出量の削減に貢献することができます。
現在の粒子に関する排出規制は、Particulate Mass(米国)とParticulate Numbers(欧州)に焦点が当てられています。 今後の排ガス規制は、粒子状物質に対してより厳しくなることが予想されており、 こうした規制に対応するためには、周知の確立された技術であるドナルドソンのディーゼル粒子フィルター(DPF)が最適です。