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集塵機フィルターの一斉交換のメリット

ドナルドソントリット、アプリケーションエンジニア、Ted Henderson

全フィルターを一斉に交換してコストを削減

集塵機のメンテナンスを適切に実施することは、フィルター寿命を延ばし、消費エネルギーを最小化するうえで非常に大切です。 集塵機のオーナーやオペレーターは、全フィルターを一斉に交換するのではなく、不具合のあるフィルターだけを交換することがコスト削減になると考えがちです。 簡単で時間のかからない処置は経済的に思えるかも知れませんが、実際には、フィルター交換の頻度が増し、ダウンタイムも増え、電気代も高くなり、つまりはコストの増加につながります。

適切な流入空気量の重要性

集塵機のサイズは、空気からの捕集が期待される具体的な粒子や総空気量など、いくつかの要素に基づいて決定されます。 フィルトレーション速度、または流入空気量(AMR)は、集塵機で利用可能な総フィルトレーション面積とフィルトレーションされる空気の体積の比率です。 一般に、捕集する粒子が小さいほど、フィルトレーション速度の推奨値は低くなります。 粒子が細かいほどフィルトレーションが困難なため、ある意味これは正しいと言えます。

第一に、細かい粒子はフィルター面に堆積するにつれて凝集しやすく、捕集した粉塵を空気が通過するための空隙が小さくなります。 このため圧力抵抗が高まり、フィルタークリーニングの必要頻度が高まります。 フィルトレーション速度が低ければ粒子は空隙を多く残したまま堆積するため、抵抗が減少し、クリーニング頻度も低くなります。 第二に、粒子が小さければフィルターの外繊維を通過する可能性が高くなり、フィルターメディアに取り込まれます。 このデプス捕集現象を防止するのは不可能ではないまでも非常に困難で、最終的にはメディアに恒久的な圧力上昇を引き起こし、交換することになります。 フィルトレーション速度が低いと、小さな粒子をメディアに押し込むエネルギーが小さくなり、結果としてデプス捕集が小さくなり、フィルター寿命が長くなります。

フィルター表面に凝集した粒子(または粉塵)が、フィルターメディアを通るエアフロー用の開口部を制約してしまうことに注意してください。 こういった制約には、効果的な定期クリーニングで解決できる程度の抵抗増加で検出できる場合もありますが、最終的には優れた表面捕集フィルターでさえ、長期的な抵抗増大や圧力損失が発生します。

表面捕集メディア

デプス捕集メディア

この必然的な圧力損失の増大は、ファンのサイズを決定する際の設計上の留意事項です。 フィルター寿命全体を通じてファンが設計空気量を確実に提供できるよう、ファンの選定時には、フィルター交換時と同様に、フィルター全体の最終的な圧力損失を予測する必要があります。 つまり、フィルターの全寿命にわたって圧力損失の最終的な増大に対応するには、ファンは4~6インチの静電容量の追加分を含むことになります。

フィルターが清浄かつ最終的な静的抵抗もない状態において、ファンが過剰にエアを引き込まないようにするため、風量を制御するダンパーその他の手段を使用した設計が必要です。 1つの方法は、可変周波数ドライブ(VFD)と風量コントローラーを組み合わせて使用し、ファン速度を調整してフィルター全体の抵抗が低い状態での空気量を設計レベルに制御します。

では、フィルターの一部交換はなぜ良くないのでしょうか?

フィルターの一部交換が理想的でない理由は、集塵機稼働時のフィルターの抵抗はすべて均一となりますが、1つだけ新しいフィルターにすると、他の汚れたフィルターよりも抵抗がはるかに小さくなるためです。 事実、新品のフィルターは設計フローで1インチ未満の抵抗を示すことが多いのに対して、使用中のフィルターの抵抗は3~4倍になることがよくあります。 集塵機内のフィルターに粉塵による抵抗があり、その中の1つだけを新しいフィルターに交換すると、新しいフィルターの抵抗が汚れたフィルターの抵抗に追いつくまで、新しいフィルターの風量が大幅に増大します。

新しいフィルターは、設計フローに相応した割合を大きく超える風量を処理することになります。その結果、新しいフィルターで即時にデプス捕集が行われ、フィルター寿命が大幅に短くなり、集塵機は高い圧力損失で稼働することになります。

交換したフィルターの寿命が短くなるとすべてのフィルターに影響が及び、フィルターの購入頻度が増え、ダウンタイムも確実に長くなります。 また、圧力損失が高い状況で集塵機を稼働させると、圧縮空気の消費量が増大し、集塵機の風量の維持に要するエネルギーも大きくなります。

フィルター一斉交換のメリット

すべてのフィルターを一斉に交換すると、集塵機内の全フィルターの圧力損失が均一になります。 これによって、すべてのフィルターが均等な空気量に対応し、圧力損失を最小限に抑制できます。 全フィルターの一括交換による均一な圧力損失により、オペレーターはすべてのフィルターのフィルトレーション速度を制御することもできます。 圧縮空気を節約し、フィルターのクリーニングを最小限に抑え、フィルター寿命を延ばすことができます。 設計エアフローもより簡単に維持できるため、適切なAMRが維持でき、フィルターメディアのデプス捕集を最小化できます。 デプス捕集が少ないとフィルター寿命が長くなり、長期的なコスト削減につながります。

そして、交換対象のフィルター以外にも集塵機内に損傷フィルターが存在する可能性があることを見落とさないでください。 他のフィルターに部分損傷があった際、それを使用し続けることになり、結局は数日または数週間以内に不具合が発生してしまうことになります。 古いフィルターの交換が遅れると、オペレーターは複数あるフィルターの不具合の点検に何度も装置を停止させる必要があり、ダウンタイムが増え、人件費が増大します。さらに、集塵機はフィルターの目詰まりや不具合による圧力損失が高まった状態で長期間にわたって稼働せざるを得ず、稼働コストが増大します。

結論としては、 集塵機のフィルターに不具合が見つかった場合は、フィルターの相対寿命や、新しいフィルターセットに交換することで集塵機の動作圧力損失を減らすことのメリットを考慮してください。 計画外ダウンタイムやメンテナンスコストの増大を防止できることを考慮し、また、すでに不具合の出ているフィルターのみを交換するよりも、摩滅しそうなフィルターをすべて交換することが有効な投資になることを忘れないでください。

用途に最適なソリューションを見つけられるようお手伝いします。

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