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油圧容器の再考

あらゆるエンジンメーカーや機器メーカーは、 スペースは貴重で限られた資源であると口を揃えて言うはずです。

このため、油圧システムを設計するエンジニアは通常、流体容器については後から考えます。これはある意味、もっともな考え方です。 油圧容器は、システムが不要とする余分な油圧オイルを保存しておく容器と捉えられているため、 多くの場合、車両設計やシステム設計の最終段階で、空いている場所に適当に配置されます。

この考え方は、少なくともある程度は理解できます。 油圧容器は、システムの効率性を妨害するものであってはなりません。 絶えず変化する液量と流量に対応できるだけのサイズは必要ですが、大きすぎて設計上不便な場所に置かざるを得ない状況になったとしても、通常は仕方のないこととして妥協することになります。  しかし、(たいていは後付けと見なされるコンポーネントも含め)すべてのコンポーネントの効率性を可能な限り高めることには価値がある、という意見も一理あります。

そこで私たちは、もっと良い方法がないか考えてみました。

カスタムフィットの容器ソリューションは、従来の容器設計よりも小さく、形状に柔軟性があります。

油圧システム全体にとってメリットのある油圧容器があったとしたら、しかもエンジニアリングチームの設計負担が減るとしたら、どうでしょうか。 一般的には、「壊れていないならそのまま使え」という従来の教えどおりに対応するでしょう。設計エンジニアには、ほかにやるべきことが多々あるからです。 しかし、性能、信頼性、効率性が高まる既成品の油圧容器ソリューションがあれば、それはすべての設計チームにとって理想そのものです。 システムに合わせてカスタマイズし、連携動作を想定して作られたコンポーネントでできた新しい容器を作ることで、与えられたスペースを最大限に活用しながら、システム全体の効率を高めることができます。 このように考えると、あれこれ悩まなくても、油圧容器とその多様なコンポーネントを必要なスペースに設置できます。

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大きさには理由がある

通常、容器に必要な容量に戻ってきた流体の滞留時間から予測されるため、大きさに余裕を持たせた容器は少なくありません。 つまり、システムの流量が毎分100ガロンである場合、2対1の流量比の容器には、50ガロンを保持する必要があります。 容器に戻ってきた流体はすべて、混入した空気が自然に上昇して放出されるように、必ず1分間放置してからシステムに戻されます。

統合容器ソリューションを使用することで、油圧システム全体の性能を向上させることができます。

以上の数値は、具体的な事例の対極にあるただの一例にすぎません。 要するにシステム設計者は、空気を放散する時間を確保する必要があるため、滞留時間に応じて容器のサイズを決定します。 システムにとって、混入空気(通常はポンプ入口や摩耗したシリンダーシールからシステムに入り込み、加圧されて石油と混合するフリーエア)は、多くの点で、汚れや水などの不純物と同等に有害です。 最後のポイントは、システムに戻る空気です。混入した空気は、振動、過度のノイズ、不要な摩耗、油圧の酸化の促進、コントロールの操作精度の低下を引き起こす可能性があります。

性能を向上

容器の仕組みを確認することで、より効率的に動作するよう調整することができます。 従来、汚染物質のフィルトレーションは脱気とは別のプロセスになります。 不純物は容器の入口でフィルトレーションされ、流体を容器から取り出すことなく、空気は自然に除去されます。 しかし、その自然の脱気プロセスに頼ると、容器の大きさを決定する際のエンジニアの負担が大きくなります。

6対1の流量比で、容器のサイズを半分にする場合、 毎分120ガロンのフローシステムに対し、20ガロンまで容器を小型化できることになります。 容器が小さくなると、流体内の気泡が自然に浮き上がる時間を十分に取ることができないため、従来はこのような小型化が困難でした。 しかし、不純物のフィルトレーションで混入空気も除去する多機能油圧フィルターを使用すれば、流体を長時間置いておく必要がないため、より小型の容器での設計が可能になります。

油圧オイルの脱気比率(%)
通気率が低いほど、油圧性能は向上します。 ドナルドソンの脱気フィルターによって、通気性を1.5%以下に維持できます。 通気性が高くなると、効率の低下とノイズが問題になります。*

この効率的な小型容器は、従来の容器に比べて、OE(相手先商標製品)メーカーとそのエンドユーザーの両方に複数のメリットをもたらします。 OEMの場合、より小さく、より柔軟なサイズの容器を使用し、システム内の配置先をより自由に選択できるため、設計効率が最大限まで高まります。 使用材料も少なくてすむため、コストも削減できます。 また、容器内の流体が半分になると、システム全体で必要な流体量が大幅に減るため、製造(または既製品適合)コストをさらに削減できます。

機器オーナーにとって、システムが保持する油圧オイルが少ないということは、システムの寿命全体にわたって購入する油圧オイルの量を抑えられるということです。 機器オーナーとオペレーターがよく口にする話題は、油圧オイルを効率的に脱気できれば、機械の騒音を抑制し、制御の精度を高めて、摩耗を減らすことができるということであり、 これらはすべて、効率的でスマートなOEの設計が直接的に影響を与える本質的なメリットです。

よりシンプル。 より小さく。 よりスマートに。

ドナルドソンの油圧容器は、スペースと性能を最適化するように設計されており、最大で50%の小型化を実現しています。 機器を設置できるスペースに合わせて設計し、脱気フィルトレーションをシステムに統合することにより、当社の容器はプラットフォームに最適なサイズになります。

技術が現実のものに

機器メーカーにとっての朗報は、この架空の油圧容器システムがもはや架空ではないということです。 柔軟性に欠けた立方体のかさばる容器のために余分なスペースを作る必要はもうありません。また、ただ空いてしまったスペースに容器を収めるためだけにコンポーネントを調達する必要もありません。

油圧容器を構築するうえで、より良い方法があるのです。 プロセス全体を考え直すことで、小さな容器だけでなく、適切なサイズの容器も構築できます。 まず機器を設計し、その設計に合わせてターンキー容器システムを構築できるようになりました。 その結果、エンジニアはより細部まで制御し、容器がシステムの不可欠なパーツとして機能するのを見届けつつも、大型容器のスペースを確保する悩みから解放されます。

設計どおりに準備され、頭痛の種を解消する油圧容器を想像してみてください。用意したスペースにすぐに設置でき、すべてのコンポーネントがすでに組み込まれているのです。 しかも、混入した空気やその他の不純物を何重にも丁寧に取り除いて、システムを保護できます。

これは油圧容器の発想を塗り替える製品です。

 

 

*この試験はラボ環境で実施され、システムへの30分間の連続的な空気漏れをシミュレートしました。
この記事は2020年7月、FluidPowerJournal.comに掲載されました。

 

 

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