バッテリーメーカーがエネルギー密度の向上とバッテリーパックのさらなる小型化に向けた開発を進める中で、ベントソリューションも遅れることなく進化する必要があります。2段階ベントシステムは、幅広いバッテリーのベント要件に対応する有効な手段ですが、高密度バッテリーでは、高性能、使いやすさ、安全性を確保するために、圧力制御および脱気性能を強化したベントが求められます。これらの高度なベント技術はすでに利用可能であり、進化するバッテリー設計の基盤を築いています。
ガス発生量を左右するバッテリーの種類と容量
EVバッテリーに適したベントソリューションを選定するには、熱暴走時に発生するガス量を正確に把握することが極めて重要です。LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーであっても、NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリーであっても、ガス発生量はバッテリーの種類と容量という2つの要因によって決まります。
EVバッテリーでは、ニッケル含有量を増やすことでエネルギー密度を高めることができますが、その一方で、熱暴走時に発生するガス量も増加します。LFPバッテリーはガス発生量が抑えられる反面、エネルギー密度は低くなります。
同様に、熱暴走時には、バッテリー容量とガス発生量との間に線形の相関関係があります。
出典:Analysis on thermal runaway behavior of prismatic lithium-ion batteries with autoclave calorimetry. Hoelleet al. 2021.
迅速な脱気を可能にする新型ベント
バッテリーの種類にかかわらず、ベントには安定した圧力均衡の維持と、熱暴走時における迅速な脱気の両立が求められます。バッテリーの高容量化に伴いガス発生量が増加する一方で、パックの小型化も求められており、単にベントの数やサイズを増やすだけの対応は現実的ではありません。
より迅速な脱気を可能にするベントソリューションを求める業界のニーズに応え、ドナルドソンは2段階ジェットバッテリーベントを開発しました。通常動作時には最適な圧力均衡と汚染物質からの保護を提供し、緊急時には独自の中圧設計によりポペットとキャップが外れて開口部が拡大しガスを迅速に放出します。これにより安全性が向上し、他のバッテリーパックへの損傷リスクを低減します。パック内圧が開弁圧の115 mbarを超えると、キャップとポペットが放出され、約100 L/秒(100 mbar時)の高速脱気を実現します。これは業界トップクラスの脱気性能です。
メーカーがさまざまなバッテリー設計で柔軟に使用できるよう、ドナルドソンのジェットベントは独自のTetratex® ePTFEメンブレン技術を含む最高レベルのエンジニアリングを採用し、迅速な脱気によって最悪の事態にも対応できる保護機能を備えています。
ベントの設置数を削減
エンジニアや設計者であれば、バッテリーベントの圧力調整と脱気性能が高いほど、少ないベントで十分な保護を提供できることがわかります。2段階ジェットベントは、バッテリーパックに必要なベント数を最大90%削減できます。バッテリーパックあたりのベント数が減ることで、設置面積の縮小、パックあたりの開口数の削減、製造および組立工程の簡素化が実現し、効率向上とコスト削減につながります。ジェットベントは簡便なリークチェック機能も備えており、バッテリーパックが出荷前に適切に密封されていることを確認できます。
ジェットなら設置すれば、あとはおまかせ
高効率な小型ベントを求めるバッテリーメーカーにとって、ジェットベントは新たなスタンダードとなります。あらゆる車種や用途に対応しており、ベントの種類に合わせてバッテリーパックを個別に再設計する手間を省きます。ジェットベントは、現在および次世代のバッテリー技術に求められる、極めて高い脱気性能を実現します。