今後、自動車産業では電気自動車の普及が加速していきます。普及率が上がるにつれ、電気自動車に動力を供給する重要なコンポーネントの需要も高まり、代替の移動手段を求める人にとって電気自動車は効率的で利用しやすい手段となっています。
電気駆動モジュールは、電気自動車のパワートレインを構成する多数のコンポーネントのひとつです。この固有のメカニズムは自動車を動かすための核であり、その機能性、効率性、性能を維持するにはベント技術が必要です。
電気駆動モジュール(EDM)とは
EDMは、電気自動車(EV)の電気モーター、ギアボックス、パワーエレクトロニクスを組み合わせたものです。このコンポーネントは電気駆動ユニット(EDU)、3in1、e-Axleとも呼ばれます。オイルなどを密封した筐体であるため、多くの場合、他のEVコンポーネントとは異なる「独自の」ものとされています。
電気駆動モジュールにベントが必要な理由
ベントは、EDMが求められる性能を発揮するための、2つの重要な機能を果たします。
- 圧力の均一化:EDMは温度の変動による圧力変化にさらされます。圧力の均一化はベントの重要な機能です。筐体への空気の出入りを可能にし、その過程で必要なシールやガスケットを保護します。
- 汚染コントロール:優れたEDM向けベントを使用すれば、筐体への水、粉塵、粒子などの汚染物質の侵入を防ぐことができます。
ベントが十分なパフォーマンスを発揮するには、これらの重要な機能が同時に働くことが不可欠です。たとえば、圧力の均一化はコンポーネントに穴をあけるだけで達成できますが、
これでは汚染から保護することができません。ベントによるソリューションは、圧力の均一化と必要な保護を同時に可能にすることで実現します。
エレメントとエンジニアリング:ベント素材がEDMに適合することを確認
ドナルドソンは長年にわたりEVメーカーと協働しており、ベントを使用するコンポーネントの複雑さとその進化を熟知しています。
EDMでは従来のトランスミッションオイルではなく、特殊なeフルードが使用されるようになっています。これは設備メーカーが開発したもので、EDMで使用される流体(オイル)に必要な油粘度レベルを満たし、コンポーネントの動作速度、熱温度、寿命に適した流体です。
EDMとeフルードの個々の性質が変化するとともに、ベント技術に新たな課題が生まれました。考慮すべき重要なポイントは以下の点です。
- オイルエアロゾルの変化:EDMは効率的な熱伝達を実現するため、低粘度のオイルを使用します。これを高速回転させることで小さい油滴が形成され、エアフローによってベントまで運ばれます。
- 油蒸気の変化:EDM内が局所的に高温になることで、油蒸気のレベルが上昇します。この油蒸気は、正圧状態になるとベントまで到達します。
- 長寿命への期待:EDMのオイルレベルは多くの場合「永久に充填」されているため、オイル交換が不要です。ベント交換によりコンポーネントが使用できなくなることはユーザーの不利益となるため、ベント技術には長寿命が期待されます。
- 「新しい」流体添加剤:ベントのパフォーマンスは、eフルードの配合や動作条件によって異なります。よって、ベントがEDMに適合することを確認するため、用途の仕様に合わせた試験を行うことが非常に重要です。
業界の標準的なベントアプローチであるジグルキャップまたはホースブリーザー、メンブレンのみを使用したベントは、多くの場合、EDM用ベントソリューションとして一部の課題にしか対応できません。
表1:保護等級(IP)の数値
| ジグルキャップ/ホースブリーザー | メンブレンのみのベント | ドナルドソンのEVベント | |
|---|---|---|---|
| 直接設置 | |||
| 防水・防塵 | |||
| EVオイル耐性 |
表1:ジグルキャップまたはホースブリーザーやメンブレンのみを使用したベントによるベント戦略でも、EDMに必要な機能をある程度果たせますが、ドナルドソンのEVベントはすべての機能を提供します。
このことから、ベント業界における当社の豊富な経験が、EDMメーカーにとって有益であることは明らかです。ドナルドソンのベントソリューションは、汚染防止とeフルードへの適合という両方の機能を果たし、さらに圧力の均一化を実現します。当社のEDMベントには、これを可能にする2つの自社開発のコア技術が採用されています。
1. Tetratex® ePTFEメンブレン:Tetratex ePTFEメンブレンには、独自の微多孔質構造があります。肉眼で確認できるよりもはるかに小さい有効細孔サイズの小さな原繊維が、ランダムにつながって構成されています。これにより水や汚れ、その他の汚染物質の侵入を防ぎ、EDMを保護します。
2. Synteq™ XPプレフィルター:Synteq XPプレフィルターメディアは、Tetratex ePTFEをオイルの汚染から保護します。メディア素材の特性とレイヤーの数を最適化することで、高いエアフローとオイル捕集の効率化を実現しています。ドナルドソンのパワートレインベントに使用されている特定のメディアグレードは、広範囲にわたる試験を行い、幅広いEV用流体への適合性を確保しています。
専門知識:社内の試験方法の適用
試験はベントの開発と評価の基本であり、これによりEDMでの使用に耐える機能性を維持できます。世界中で100を超える当社試験所において、さまざまなオイルや条件でベント技術の試験を行い、幅広い用途で機能することを確認しています。
ベントの一般的な試験方法では、エアフロー、侵入防止、温度の変動に対する機能、構造的完全性などの要素を評価します。さらに、オイルに特化した試験を追加で実施します。ここでは、EDMコンポーネントのベント評価の重要なダイナミクスである、オイルエアロゾルおよび蒸気捕集を評価します。
オイルエアロゾル試験では、プレフィルターメディアで小さい油滴を捕集するベントの機能を評価します。この試験では、エアフローによって運ばれた油滴に対するベント機能を確認します。
油蒸気試験では、ベントが油蒸気を捕集する機能を評価します。EDMでは、オイルが高温のコンポーネントに接触することで蒸気が発生します。この試験では、加熱されたオイルのコンテナからベントに空気を流します。
エアロゾル試験と蒸気試験によってベント全体での圧力損失を測定し、EDMのシール性能の定格圧力に達するまでベントが保持できるオイル量を判断します。理想は、時間の経過に伴う圧力損失の増加を最小限に抑えることです。
EDMのベントソリューションをお探しであれば、専門家にご相談ください
EDMは複雑であるが故に、特有の課題が生じます。発生する油蒸気とエアロゾルのレベル、長寿命への期待、EDM専用流体との適合性など、複数の点を考慮する必要があるため、従来のベントアプローチがEDMでの使用に適しているとは限りません。
ドナルドソンは広範な研究、試験、カスタマーフィードバックループを通じて、EDMおよびEVパワートレインシステムを構成する他の多くのコンポーネントに最適なベントソリューションを開発しました。当社の試験技術は、日常的な環境とより厳しい環境の双方において、EDMコンポーネントに発生する可能性のある実際のシナリオを再現して設計されています。ドナルドソンはEVコンポーネントの進化するニーズに対応し、信頼できるベントソリューションを提供いたします。
今すぐお問い合わせいただき、最適なEDMパフォーマンスと保護の実現に役立つドナルドソンのベントソリューションをお確かめください。