重要管理点としてのプロセス水、スチーム、ガス、空気
ビールは世界的に厳しい品質・安全規制の対象となっている食品です。醸造所は汚染リスクの特定と管理を義務付ける国内外の食品安全法を遵守しなければなりません。多くの醸造所は危害要因分析重要管理点(HACCP)の原則に従い、製品の安全性とブランドの信頼を守っています。
醸造所における汚染リスク:概要
ビールに含まれるアルコール分、低pH値、ホップには天然の抗菌特性がありますが、これらによってすべての汚染リスクが排除されるわけではありません。汚染を引き起こす可能性のある物質は、原材料(穀物、ホップ、香料、加工助剤)や、水、スチーム、ガス、圧縮空気などのユーティリティーから発生します。たとえば、
- 麦汁エアレーションや酵母の管理に使用される圧縮空気は、適切に濾過されないと、微粒子、油、微生物が混入する可能性があります。
- 滅菌に使用されるスチームには、機器を損傷し、製品の品質に影響を与える可能性のある錆やその他の微粒子が含まれていることがあります。
- 各醸造段階で使用される水は、適切に処理しなければ汚染物質が混入する可能性があります。
- 二酸化炭素や窒素などのガスは、不要な不純物が最終製品に影響を及ぼすのを防ぐため、濾過する必要があります。
バルブや配管に付着した微生物は、小さくても増殖してバッチ全体に影響を及ぼす可能性があります。適切なフィルトレーションにより、これらのリスクを軽減できます。
重要管理点としてのフィルトレーション
食品の安全性を維持し、業界標準に準拠するために、醸造所はプロセスユーティリティー全体でフィルトレーション戦略を実施する必要があります。多くの醸造所は、圧縮空気についてはISO 8573-1、衛生設計については3-Aサニタリー規格、包括的な食品安全管理については安全品質食品(SQF)認証などの世界標準に従っています。
フィルトレーションは次のようなさまざまな領域で推奨されます。
- 醸造用水:通常、逆浸透システムが採用され、プレフィルトレーション(5ミクロンフィルターなど)によってメンブレンを保護します。
- 圧縮空気:用途によって必要なフィルトレーションレベルは変わります。食品に直接接触する空気の場合は、ISO 8573-1 Class 1:2:1(油、粒子、水分がほとんどない状態)を満たし、適用箇所で滅菌フィルトレーションを行います。
- プロセスガス(CO₂、空気、窒素):滅菌フィルトレーションにより、製品接触前のガスが清浄に保たれます。
- スチーム:スチームを食品に直接接触させたり滅菌に使用したりする場合は、調理用スチームの品質(2µm超の粒子を95%超除去)が推奨されます。
ビールのフィルトレーションプロセスの概要
使用するフィルターの種類は、媒体(液体、ガス、スチーム)と必要な捕捉効率によって変わります。
- 公称フィルター(最大捕捉率98%)
- 絶対フィルター(捕捉率99.98%)
- 滅菌フィルター(対数減少値(LRV)7で、約0.2µmのBrevundimonas diminutaなどの特定微生物を99.99999%除去)
醸造所における主なフィルトレーション用途
水のフィルトレーション
水はビールの主要な原料であり、適切に処理する必要があります。ほとんどの醸造所では、水道水や井戸水を利用してフィルトレーションを行い、安定した品質を確保しています。次のような用途があります。
- 醸造用水:通常、逆浸透システムやその他の処理システムで濾過されます。
- CIP(定置洗浄)とボトルの洗浄:醸造用水と同じ品質基準を満たすようにします。
- 滅菌水用途:高比重ビールの希釈やボトルへの高圧充填に使用され、微生物による汚染を防ぎます。
圧縮空気、窒素、二酸化炭素のフィルトレーション
圧縮空気の品質はその用途によって決まります。
- 装置用空気の場合、最高レベルの純度は必要ありません。
- 麦汁や酵母と直接接触する空気は、滅菌フィルタリングされたものでなければなりません。
- ビール製造に使用される二酸化炭素と窒素は、タンクのパージ、炭酸化、容器詰め時の汚染を防ぐため、滅菌フィルタリングを行う必要があります。
スチームフィルトレーション
スチームは加熱、滅菌、洗浄に欠かせません。適切なフィルトレーションにより、以下を防止します。
- 機器や配管の汚染
- 熱伝達効率の低下
- 粒子過多による滅菌ガスフィルターの損傷。食品に接触する用途の場合は、調理用スチームの品質基準を満たすようにする必要があります。
ビールのフィルトレーション
フィルトレーションにより、不要な微粒子や微生物を除去しながら、風味と安定性を保つことができます。
- 遠心分離器:一次フィルトレーション前の大量の酵母による負荷を軽減します。
- メインのビールのフィルトレーション:一般的な方法として、珪藻土(DE)やクロスフローフィルトレーションなどがあります。
- 容器詰め前の最終フィルトレーション:
- トラップフィルター(5~10µm)はDEの残留物を除去します。
- ファインフィルター(1~2µm)は滅菌メンブレンを保護します。
- 低温滅菌フィルトレーション(0.45µmメンブレン)により、低温殺菌をしなくても腐敗を防ぐことができます。
結論
ビール製造のプロセス全体における原材料、プロセスユーティリティー、取り扱い方から、汚染リスクが生じます。適切に設計されたフィルトレーション戦略を採用することで、このようなリスクを最小限に抑え、製品の安全性を守り、規制を遵守できます。HACCPを遵守し続けるには、定期的なモニタリング、清掃、フィルターの交換が不可欠です。
要所に適切なフィルトレーションソリューションを導入することで、製品の品質とプロセスの完全性を守ることができます。ドナルドソンの専門家チームは、お客様の醸造所のニーズに合わせたフィルトレーションをご提案いたします。