加工業のマテリアルハンドリング用途においては、複数の集塵機の配置方式があります。誤った方式を選択すると運用コストがかさんでしまうため、用途と施設のニーズに基づき最適な方式を判断します。
集中集塵機の配置方式
集塵機の配置方式の1つとして、建物外部に集塵機を1台設置し、プロセスの粉塵発生箇所にダクトを配管する方法があります。これは集中集塵システムとして知られており、
複数のメリットがあります。1つ目は、粉塵発生源となる場所で占有スペースを比較的抑えられることです。粉末やバルクの加工施設では、コンベヤー搬送ポイント、ビンベント、ミキシング、バグダンピング、バグフィリングなど、粉塵が発生する連結ポイントやプロセスが多数あります。こうしたプロセスではたいてい、スペースが限られている場所で粉塵が発生します。集中集塵機配置では、粉塵の発生源に防塵フードを設置し、粉塵をダクト経由で集塵機に送ることができます。フードは集塵機よりも狭いスペースに設置できるため、スペース不足の問題を解決できます。
集中集塵機配置のもう1つの利点は、複数ポイントで発生する粉塵を1台の集塵機で処理できるため、モニタリングやメンテナンスを行う装置の数を抑えることができます。
このようなメリットがあるものの、集中集塵機配置には考慮すべき問題点もいくつかあります。まず、集中集塵機配置にはダクトは必須ですが、多数必要な場合もあります。ダクトの費用に加えて、研磨性粉塵の場合や配管が露出する場合は、メンテナンス費用も発生します。
集中集塵機配置のもう1つの欠点は、さまざまなプロセスで発生するさまざまな粉塵が1台の集塵機の中で混じってしまうことです。相性の悪い粉塵同士が混ざると、火災、爆発、腐食などが発生するおそれがあり、たとえ混在可能であったとしても、混ざった粉塵は再利用できない可能性があります。この場合、混合粉塵は埋立処分するほかなく、輸送費や埋立費用が発生します。
エネルギー費用の増加も、集中集塵機配置の欠点となります。集中集塵機配置の場合、粉塵の発生する機器が1台しか稼働していない場合でも、システム的には集塵機に接続されているすべてのフードから吸気が行われることになり、粉塵が発生していないフードからの吸気で、電力を浪費します。
また、複数のプロセスが1台の集塵機に接続されているため、集塵機のメンテナンス時には多くのプロセスを停止する必要があります。それを避けるために集塵機のメンテナンスを週末や休日に行うとなると、今度は人件費が増大します。
専用集塵機の配置方式
2つ目の方法として、特定の粉塵発生プロセスや同種の粉塵を発生するエリアごとに集塵機を割り当てる方法が考えられます。この方法は、同じ種類の粉塵を捕集することで、粉塵を埋立地に運搬する代わりに再利用できる可能性を生み出すという点で、集中集塵機配置よりも優れています。
もう1つのメリットは、ポイントごとに小型集塵機を設置するため、1台ごとにメンテナンス作業を実施することができ、すべての作業を停止させる必要がない点にあります。また、このアプローチでは、粉塵が発生している特定の作業エリアが稼働しているときだけ集塵機が作動するため、生産量の変動に応じて電力の消費を制御することができます。
この専用配置方式には、一見多くの集塵機やファンが必要になるという欠点があるように思われますが、以下のようなコスト削減の要素を考えれば、通常、専用配置方式の方が中央配置方式よりもコストを抑えることができます。
- 小径ダクトの使用
- 配管距離の短縮
- 据付時間の短縮
- 全体的な馬力要件の緩和
中央配置方式や専用配置方式には大きな欠点があるように思われますが、回収された粉塵が廃棄工程の一部となる用途においては依然として有効です。代表的な例が、穀物産業などの清掃作業で発生する粉塵です。
一体型集塵機戦略
3つ目の、そして最も革新的な配置方法が、一体型(またはソース)集塵機です。この方式では、工程に直接集塵機を取り付け、捕集した粉塵をそのまま生産プロセスに戻します。これまでは、集塵機に広いスペースが確保できる用途でしか使用できませんでしたが、集塵技術の進歩によって集塵機の小型化が実現し、非常に狭いスペースにも収まるようになりました。封筒状のバグとカートリッジ集塵機を備えたバグハウスは、管状のバグを備えたバグハウスに比べて小型化されていますが、ひだ折りされたフィルターパックを使用した集塵機の登場により、集塵機のサイズは大幅に小さくなっています。これらのフィルターを使えば、狭いスペースに多くのフィルターメディアを収納できるため、集塵機のサイズが従来のバグハウス集塵機より最大70%小さくなります。
チューブフィルターを使用した標準バグハウスとひだ折りされたフィルターパックを使用した集塵機の比較。小型集塵機は大型集塵機と同様の機能を発揮し、サイズは最大70%小さくなります。
ひだ折りされたフィルターパックを使用した集塵機は、従来の集塵機よりもはるかに小さく、トラックの荷降ろしフードに組み込めます。
一体型集塵機方式には多くのメリットがあります。まずは、粉塵の発生源に集塵機を配置できるため、取り付け時の配管が不要です。そのため、ダクトや配管作業のコストがかかりません。ダクトのメンテナンスコスト(特に研磨性粉塵の場合)も不要になります。
もう1つのメリットは、省エネ性です。前述の集中配置や専用配置方式を使用する場合、粉塵を含む空気は、粉塵発生源のフードからファンで吸引され、ダクトを経由して集塵機に送られます。システムの規模によっては、ダクトに大型ファンを接続する必要があり、粉塵を含む空気を集塵機に搬送するのに大量の電力を消費する可能性があります。これとは対照的に、一体型集塵機では、集塵機がフードの役割も果たすため、ダクトもフードも不要です。多くの場合、集塵機に粉塵を吸引するための負圧の維持に小さなファンが必要ですが、ファンモーターは非常に小さなサイズのものです。また、配管を通して離れた場所にある集塵機に粉塵を送る必要がないため、消費電力も抑えることができます。用途によっては、年間で節約できるエネルギー量は相当なものになります。
一体型配置の場合、捕集した粉塵は直接プロセスの流れに戻されるため、色々な側面でコストを節約できます。集中配置や専用配置方式では、捕集粉塵を除去する必要があります。捕集した粉塵に利用価値がある場合、何らかの方法で輸送してプロセスに戻す必要があります。元のプロセスに輸送する場合には追加の設備費がかかり、人手を使ってバッチでプロセスの流れに戻す場合には、人件費がかかることになります。粉塵に利用価値がない場合でも、埋立地や処分場に輸送しなければならず、輸送費や埋立処分費が発生します。
専用配置方式の場合と同様、一体型配置方式では、大型集塵機1台ではなく複数の集塵機が必要になります。つまり、メンテナンスの必要な集塵機の台数が増えるということですが、これには良い点もあります。個別にメンテナンスできるため、すべての作業を一斉に中断する必要もなく、通常の営業時間内にメンテナンスできるため、週末や休日の人件費も発生しません。また、事業全体や事業の大部分が1台の集塵機に依存することもありません。
最後に、一体型ソリューションは小型集塵機(コンパクト設計、ホッパーなし、脚部構造なし)を使用するため、輸送費も据付費も大幅に削減できます。ダクトの購入や配管工事も不要なため、据付費用をさらに安く抑えることができます。
一体型方式のメリットを理解できるよう、実例をご紹介します。
穀物トラックの荷降ろしステーション(米国中部)
米国中部に位置するこの穀物トラックの荷下ろしステーションには、元々集塵システムが設置されていませんでした。施設の稼働を開始してすぐに、集塵機が必要であることがわかりました。Donaldson Toritの担当者は、それぞれのダンプ場にTorit® PowerCore® CPV-6集塵機(ひだ折りされたフィルターパック付き集塵機)を4台設置しました。集塵機に直接ファンを取り付けるだけのスペースがなかったため、集塵機はダンプ場の外側のファンに配管接続されました。この現場では、一体型方式で通常実現できるような省エネ効果は得られていませんが、ダクトを通る粉塵が研磨性のものではないため、ダクトのメンテナンス費用を大幅に抑えることができ、現場管理者も満足しています。また、交換するフィルターの数が少ないことも管理者にとっての利点です。建物外部にバグハウスを設置していたら、フィルター1つを交換する代わりに、8フィートの高さのバグを6つも交換しなければならないところでした。フィルターの交換が簡単なことも嬉しい点です。
建屋外部の25 HPセントラルファンに配管接続するのではなく、各集塵機に5 HPファンを設置できていたとしたら、それぞれの荷下ろしステーションで年間2,391ドルの電気料金を節約できていました(稼働時間4,000時間、kW時あたり15セントと想定した場合)。実際には4か所のステーションがあるため、年間で合計9,564ドル削減できる計算です。
Southern Cement社
穀物トラックのダンプピットに設置されたドナルドソントリットのCPV-6集塵機4台
一体型方式のメリットを示す事例をもう1つご紹介します。アラバマ州モービルのSouthern Cement社の中継施設です。Southern Cement社では、荷下ろし後、セメントを3つの倉庫に空気圧で搬送します。その後、セメントは移送され、トラックや鉄道車両に積み込まれます。倉庫に搬送した後の粉塵管理は集塵機で行い、粉塵は各倉庫に保管されます。
当初の設計では、3台の集中集塵機の使用が予定されていました(各保管コンパートメントの外部に1台)が、Donaldson Toritの担当者によって、さらに効果的な解決策が提案されました。担当者が提案したのは、各保管コンパートメントの屋上にDonaldson ToritのDalamaticインサート型集塵機を5台設置するという、一体型ソリューションでした。インサート型集塵機に取り付けたファンは、フィルターを通して粉塵を含んだ空気を取り込みます。どちらのソリューションでも、各保管コンパートメントで1分あたり20,000立方フィートの空気の入れ替えが必要でしたが、 Dalamaticインサート型集塵機を使った一体型ソリューションの場合、ダクトロスがまったくないため必要な静圧が少なくて済みます。そのため、年間18,000ドル以上の電気料金を節約することができました。同社には、以下のようなメリットもありました。
- セメント粉塵は集塵機から貯蔵庫に直接払い落とすため、捕集したセメント粉塵を輸送するためのロータリーバルブやスクリューコンベヤーが不要である。
- 集塵機のメンテナンスが必要な場合、すべての稼働を停止せず、1台ずつ行うことができる。
- 配管不要で、初期費用やメンテナンス費を節約できる。
Southern Cement社で使用されている一体型ソリューション、ドナルドソントリットのDalamaticインサート型集塵機
粉末やバルクの処理施設で使用できる集塵機の設置方法は複数あります。可能な場合は、一体型ソリューションを使用すれば、さまざまなコストを削減できます。