米国では毎年180億ブッシェルを超える穀物が生産され、穀物処理システムを通過しています。国内に食料や飼料を供給し、バイオ燃料への移行を支援し、余剰穀物を新興市場に輸出する国力は、米国の誇りと強みでもあります。穀物をある地点から別の地点に移動するためのインフラには、小型・大型のカントリーエレベーター、大型の穀物ターミナル、トラック、列車、はしけ、外航船などがあり、こうした場所から穀物が別の場所へ移動するたびに粉塵が発生するため、粉塵を制御して捕捉し、封じ込める必要があります。 

動向

穀物産業における防塵対策には多くの動向が影響を与えています。 

その最たるものは、既存の穀物処理施設の大半が1980年代に建設されており、約40年の時が経っているということです。長年経った現在、米国は同じ施設で2倍の量の穀物を移動させており、プロセスソリューションを導入して稼働時間を延ばし信頼性を改善しようという要望がますます高まっています。既存インフラを改善することで処理能力のニーズに対応できる場合は、新しいインフラの構築はできるだけ回避することが望まれます。

簡単な改善策では不十分な場合、更新、拡張、さらには新しい施設を建設するなどして老朽化した施設を復興するために、多額の投資が行われています。新規投資においては、廃棄工程をなくし、製品の品質を高め、エネルギー効率を改善するプロセス改善に新たな焦点が当てられています。目標は、老朽化したインフラをただ交換することではなく、改善することです。

また、穀物商社が互いに競争することで、既存施設の大幅な改善ニーズに拍車をかけています。コロンビア川のいくつかの穀物ターミナルは、穀物処理能力と効率の向上を目的としたプロジェクトにすでに着手しているか、これから着手する予定があります。 

もう一つの動向は、粉塵排出問題に対する注目度の高まりです。穀物粉塵排出に関する連邦政府の規制は、国内の大部分においては大きく変更されていませんが、一部の地域(西海岸など)では排出基準が厳しくなり、施行が強化されています。規制排出量が変化していない地域でも、粉塵は侵入するため、排出が問題であることに変わりはありません。近隣住民の居住地が穀物処理施設に近いほど、粉塵排出に対する一般許容度が低下するため、穀物取扱業者は排出への注意を高める必要があります。

また、可燃性粉塵の管理に関する地方の規制や議論の渦中にある連邦規制は、これまでの一般的な方法とは大幅に異なる可能性があります。穀物関連の現場では、近く導入される OSHA の新しい粉じん規制に合わせるため、これまで以上に粉塵管理が重要になっています。

要約すると、穀物業界での集塵手法に影響を与える主な動向は次のとおりです。

  • 処理量の増加
  • 市場競争力の維持
  • 稼働時間の延長と信頼性の向上
  • 廃棄物削減と製品の品質向上に対する需要
  • 利益拡大要因としてのエネルギー効率の重視
  • 強化される基準の適合と環境への影響を抑えるための粉塵排出量削減への必要性
  • 可燃性粉塵の管理に関する規制導入される予想

新しい防塵ソリューション

業界の動向により、穀物取扱業者は粉塵管理を不可欠な業務とするように求められており、集塵業界はこれらのニーズに対応するソリューションを引き続き提供しています。古くからの慣行と方法に従ったソリューションを適用してきた企業がある一方、効果的な新しいソリューションを開発して新たなニーズに対応してきた企業もあります。

革新的な粉塵管理方法の1つは、粉塵を発生源で捕集して管理することです。発生源での粉塵の捕捉と制御には、次のようないくつかの利点があります。

廃棄工程の削減または排除。捕集した粉塵は、プロセス内で、収益を生む製造工程の一部として留まります。製品の一部を無駄な粉塵の山にする代わりに、経済的価値を持つ製造工程の一部として留まります。

廃棄工程装置の削減または排除。プロセスで発生した粉塵が元のプロセス流から分離されると、それらは独立した材料搬送装置およびプロセス装置が必要となります。粉塵を製造工程の中で維持することにより、追加の材料搬送装置のコストとメンテナンスを最小限に抑えます。

ダクトの長さの最小化。粉塵の多い空気を長いダクトに流すには、膨大なエネルギーが必要です。ポイントオブユーズ集塵機を発塵プロセスの近くに設置することで、不要なダクトを削減または排除し、省エネを実現します。

ダクトメンテナンスの削減。ダクトの長さを最小限に抑えることで、メンテナンスコストが削減され、ダクトシステムの漏れによる空気の無駄がなくなり、ダクトの内張りにかかる高コストも不要になります。

より簡単な設置。ダクトが少なければ、集塵機の設置も簡素化されます。穀物処理施設では集塵機を地面に設置することがほとんどなく、小型で軽量な集塵機ほど、支持用のインフラが少なくてすみます。

システム全体の稼働時間の延長と信頼性の向上。集中集塵機配置により、集塵システムが粉塵処理システム全体のメンテナンスを必要とする場合、通常、施設全体を停止させる必要がありますが、ポイントオブユース集塵機を複数台使用することで、メンテナンス時にプロセスの一部が停止になった場合でも、システムの残りの部分は動作し続けます。これにより、システムに一定レベルの冗長性が提供され、施設の稼働時間が長くなります。ポイントオブユース集塵機には他にも次のようなメリットがあります。

  • メンテナンスによる稼働時間への影響を最小限に抑えます。停止時間を最小限にとどめ、メンテナンススケジュールの柔軟性を高めます(4~8時間ではなく、20分のサイクル)。また、メンテナンス作業を簡素化・高速化する設計特性を備えています。
  • システムを局所化することにより、単一のコンポーネントに問題が生じた場合のオペレーション全体への影響を最小限にとどめます。
  • システムを局所化することによりエネルギー利用が改善され、各エリアで粉塵を管理する必要がある場合にのみエネルギーを使用できるようになります。この方法により、粉塵処理を行っていないエリアから空気を引くための無駄なエネルギー消費をなくします。
  • 技術の力でフィルターの使用期間を延ばし、保守頻度を低減します。

革新的なポイントオブユース防塵ソリューションを使用するには、中から大量の空気を処理できる堅牢な性能を備えた、設置面積の極めて小さい粉塵フィルトレーション製品が必要です。従来のバグハウス集塵機やカートリッジ集塵機は、使用箇所の設置には大きすぎるか、サイズが合っていても必要な空気量を処理できないことが一般的です。

Donaldson® Torit® PowerCore® CPシリーズ集塵機は、発生源で使用する局所集塵機として優れた性能を発揮します。小型かつ軽量で容易にメンテナンスでき、必要な空気量を処理できるこの集塵機は、40年以上にわたり使用されてきた一般的なバグハウス技術と比べて明らかな優位性を備えています。

これらの集塵機は、発生源で物質を捕集する機能を備えており、エネルギー投資を抑えたうえで防塵ができるようになります。ポイントオブユース集塵機は、防塵に必要な空気量を減らし、エネルギー投資を削減し、稼働エネルギーコストを最小限に抑えます。Torit PowerCore CP集塵機は小型設計となっているため、ソース集塵機として新しい施設の複数の場所に設置できるほか(小型サイズのため)既存施設の狭いスペースにも設置することができ、厄介な粉塵問題を解決します。

新しいフィルターメディアオプション

従来のバグハウスメディアの効率性は、新しいメディアと比べると常に低いものでした。新しいメディアは、施設における粉塵排出削減のニーズに対応し、粉塵侵入の問題を管理することができます。

何十年もの間、カートリッジ集塵機のファインファイバーメディアは、カートリッジ集塵機が適用されるプロセスにおいて優れた効率を提供してきましたが、穀物処理作業においては、カートリッジ集塵機は適合しないことが多く、このフィルターメディアは広く採用されていませんでした。Torit PowerCore CPシリーズのリリースにより、穀物業界でも、より効率的なUltra-Web®ファインファイバーメディアが利用できるようになりました。Ultra-Web®ファインファイバーメディアの試験運用では、排出量を最大78%削減できることが実証されています。Torit PowerCore CPシリーズ集塵機に使用されているUltra-Web®フィルターメディアは、まさに、穀物業界屈指の防塵技術と言えます。

集中集塵機を交換する予定のない施設では、既存の集塵機に使用されているメディアをアップグレードすることで、一部の問題は解決されます。Dura-Life®バグは標準的なバグの2~3倍長持ちし、省エネと排出量削減の両方を実現します。また、標準バグをプリーツバグに切り替えるオプションも可能です。Ultra-Web SBプリーツバグフィルターは、既存のバグハウス集塵機のフィルター寿命を延ばし、効率を高め、コストを削減します。プリーツバグは、バグの摩耗問題の解決に役立つほか、メディア面積が大きくなることにより集塵機の通気量の増加につながります。

防塵ソリューションの比較例

ポイントオブユース防塵対策が施設の運用コストに与える影響を理解するために、1時間あたり4万ブッシェルの穀物を鉄道からはしけへと移動させる一般的な穀物エレベーターについて考えます。

図1は、従来の集中防塵対策を施した一般的なエレベーターサイトを示しています。この施設では、15台の集中バグハウス集塵機を利用し、稼働中は常時約99,000 cfmの空気を移動させており、集塵機の定期メンテナンスの際はすべての稼働を停止する必要があります。こうした集中集塵システムでは大量のダクトの設置が必要となり、設置とメンテナンスの課題が増大します。この集中集塵では、空気の移動にかかるエネルギーコストだけで年間70,000ドルを超える可能性があるのに加え、何種類ものバグハウス集塵機で捕集された粉塵のために、高価でメンテナンスの手間がかかるマテリアルハンドリングシステムが必要となります。また、捕集された粉塵に対して、低質廃棄工程も形成されます。

図1 図1
図3 - 現代の局所的な防塵対策 図3 - 現代の局所的な防塵対策
図3 - 現代の局所的な防塵対策 図3 - 現代の局所的な防塵対策

図3に示すのは同じく1時間あたり約4万ブッシェルという一般的なエレベーター施設ですが、発生源でのポイントオブユース捕集という防塵対策を活用した、より現代的な方法が用いられています。この施設では、Torit PowerCore CPシリーズのポイントオブユース集塵機43台と、バグハウス集塵機1台を使用しています。施設全体稼働時の空気の移動量は先ほどと同じですが、特定のプロセスが稼働していない場合やメンテナンスが必要な場合は、施設内の個々のゾーンは停止となります。空気移動に要するコストに限って見た場合、この局所的な手法によるエネルギーコストは年間55,000ドルほどで、従来の集中集塵型と比べてエネルギーコストを約22%削減できます。さらに、局所的な手法では、低質廃棄工程が形成されることはありません。捕集された粉塵は一次製造工程に戻され、エリアによっては大量のダクトのメンテナンスが低減、もしくは不要になります。

図4は、メキシコ湾岸の主要穀物輸出ターミナルにおいて、局所的な防塵対策が導入された事例です。図5は、サイロに設置された局所集塵機のクローズアップ写真です。

図4 - 局所的な手法の導入例 図4 - 局所的な手法の導入例

最適な運用方法に関する知識は、ポイントオブユース戦略を適用するうえで不可欠であり、ポイントオブユース機器を正しく選定し、適切に使用する方法を理解していることが求められます。例として、バケットエレベーター脚部における直接の発生源での捕集は推奨されませんが、適切に選定および設計された局所集塵機であれば、捕集した粉塵をエレベーターのブーツ部に戻すことができ、ほとんどの基準に準拠しつつ、発生源でのソース集塵によるメリットを実現できます。

図5 - サイロでの局所防塵 図5 - サイロでの局所防塵

結論

穀物産業における、ポイントオブユース粉塵管理手法とTorit PowerCore CPシリーズ集塵機を組み合わせた防塵は、同業界の変化し続ける期待と要件に応える最高レベルの粉塵管理手法です。この技術は米国だけでも数多くの穀物施設で実証されており、市場でも屈指の防塵技術となっています。ポイントオブユース集塵技術の導入を検討する主要穀物取扱業者が増えることを期待しています。