ファインファイバー技術とは、物質をほぼ原子レベルの細かさで加工する技術のことで、その特性によって新しい用途が生まれます。 その例のひとつが、工業用の空気濾過で、非常に細い繊維を性能向上のための層として使う方法です。ファインファイバーの層は、「エレクトロスピニング」という方法でつくられています。この方法では、直径0.2~0.3ミクロンの非常に細かくて切れにくい連続極細繊維を作り、それを幾重にも重ねることで、フィルトレーションメディアの基材となります。ファインファイバーは、基材表面に非常に微細な隙間を持つ永続的な網状の層(ウェブ)を形成します。ウェブはフィルター表面で粉塵、泥、汚染物などを捕集します。セルロース、セルロース/合成、スパンボンド、メルトブローンなどを使用したフィルターに比べ、より多くのメリットを提供します。
集塵機用の高効率ファインファイバーフィルターは、他のメディアフィルターよりも高価かもしれませんが、ファインファイバーフィルターには価格に十分見合う価値があります。以下は、ファインファイバーフィルターをおすすめする理由トップ5です。
図1 - ファインファイバー層フィルトレーションメディアの拡大図。セルロース、スパンボンド、セルロース/合成、メルトブローン繊維と比較
1. 初期および継続的な効率が高い。
集塵機の主な機能は、製造工程で発生する排出物を制御し、最小限に抑えることです。クリーンで新しいフィルターは、通常、粉塵が付着しているフィルターと比較して、効率が低く(したがって排出量も多く)なります。濾材表面のファインファイバー層は、クリーンな状態の場合、ファインファイバー層のないクリーンなフィルターよりも粉塵粒子をよく捕捉します。図1を参照してください。この性能は遮断・拡散・固着などのいくつかのフィルタリングの仕組みにより実現されています。図2を参照してください。
ただし、初期効率は全体で見ればほんの一部にすぎません。大半の産業用集塵機は、何らかのフィルタークリーニング方法を使用して、フィルターの使用期間中に、フィルター表面での粉塵蓄積を防いでいます。フィルタークリーニング(通常、圧縮空気の逆パルスクリーニングを行います)を行うたびに、フィルターメディアに蓄積した粉塵が破壊され放出される可能性があります。ファインファイバーフィルターを使用すると、捕捉された粉塵は、濾材内ではなくフィルトレーション濾材表面に蓄積されるため、より少ないパルスで除去できます。パルスが少なければ、排出が発生しうる事象も少なくなります。
図2 - フィルトレーションの機構
2. フィルター全体の圧力損失が少ないほど、エネルギーを節約できます。
ほとんどの集塵システムは、ファンを使って汚染源から粉塵を含んだ空気を集塵機へ取り込み、その後フィルターメディアに引き込むという方法を採用しています。フィルトレーションシステム内の空気の移動に必要なエネルギー(静圧)に基づき、必要なファンサイズと、システムの稼働に必要な有効エネルギーが決まります。フィルターや捕集された粒子により制約が生じると、システムの全体的なファンエネルギーの必要量に大きく影響する可能性があります。市販フィルターは、捕集された粉塵粒子の多くがメディア細孔の深部に入り込みます。フィルター濾材の深部で捕集された粉塵は、ファインファイバーフィルターの表面捕集された粉塵と同じようにクリーニングすることができません。図3を参照してください。捕集された粉塵を濾材深部から除去できない場合、フィルター全体に高い圧力差が生じたままとなり、エネルギー需要が増加します。ファインファイバー層のフィルター濾材は、粉塵を表面で捕捉し、深部に入り込む粉塵が少ないため、クリーニングがしやすく、フィルター全体が小さい圧力差で動作し、エネルギー需要が抑えられます。フィルターへの圧力差が小さいため、新システムの設計や部品の選択時にシステム全体のエネルギー要件が低くなり、ファンの必要サイズも小さくなります。システムファンが可変周波数ドライブ制御システムを使用している場合は、さらに大幅なエネルギー節約が可能です。
表面荷重
デプス捕集
図3 - ファインファイバー層がフィルターに与える影響
3. パルスジェットでクリーニングされる集塵システムに必要な圧縮空気の消費量を抑えることができます。
表面捕集ファインファイバー層メディアにはもう1つメリットがあります。前述のように、フィルター表面で粉塵を捕捉する場合、深部で捕集する濾材よりもクリーニングに必要な圧縮空気パルスがはるかに少ない量で済みます。図4を参照してください 。圧縮空気のパルスが少ないため、圧縮空気の消費量が全体的に少なくなり、コンプレッサーのエネルギー需要とコンプレッサーのコストが削減されます。
清浄な状態のファインファイバー層フィルター
表面捕集後のファインファイバー層フィルター
図4 - ファインファイバーメディアに捕集されたISOファインダスト。メディア表面に捕集された粉塵粒子は、基材を清潔に保ちながら簡単に除去できます。デプス捕集フィルターの場合、基材の深部に入り込んだ粉塵粒子が蓄積し、風量を妨げます。
4. フィルター寿命が長い。
ほとんどの集塵機フィルターは、フィルターメディア深部が捕集粉塵でいっぱいになり、システム内のファンを使っても規定の風量を確保できる許容レベルまでクリーニングできなくなったときに寿命を迎えます。ファインファイバー層と表面捕集という特性の結果、ファインファイバー層フィルターは、他のフィルターと比べ、大幅に長持ちします。フィルターが長持ちするということは、フィルターの購入頻度が減り、長期的に大幅な費用節約になるということです。さらに、フィルター寿命が長いと、フィルター交換作業による生産ダウンタイムが減少し、コストを削減できます。
5. 問題解決に役立つ柔軟なフィルター構成。
ファインファイバー高性能層メディアは、さまざまな基材上で使用でき、多様なフィルター構成に組み込むことができます。ファインファイバー層は、セルロース、合成、スパンボンドのメディア基材に適用でき、これら各メディアの性能を向上させます。ファインファイバー高性能層の利点を生かしながら、帯電防止や温度、耐湿性など、特性に合わせた独自の基材をお選びいただけます。ファインファイバーフィルターは、カートリッジフィルターとして数年前から販売されていますが、今では各メーカーからプリーツバグやひだ折りフィルターの形で提供されるようになりました。
フィルター構成のバリエーションが増えたことと、より幅広い用途に対応したファインファイバーフィルターが誕生したことで、より多くの集塵機作業員が今までのフィルターから切り替え、排出量を削減し、エネルギーを節約して、収益を向上できるようになりました。
1 National Nanotechnology Initiative(www.nano.gov)